Ｒ帝国を読みました。
今！今読まなきゃです。
30年後まで残る名作ではないが、今日読めば面白い。
文庫化した直後ですが。あえて電子書籍化しないのは作者の意図があるのかな？
電子書籍にしちゃったらその背景のネット世界に本ごと溶けちゃって作品の存在が希薄になるような・・・気もしなくはない。
先日文庫化されたばかりなので、連載から、単行本化から・・・はそれぞれ数年を経ていますが。その時に若干の「未来」を予想しての仕上がりになっているので。
今なら間に合う鮮度。
おそらく。だれしもが。不自然に感じながらも、不安を感じながらも。多くの人が日々の生活に紛れて一つ一つを突き詰めることをあきらめている情報を思いつく限り集めて1つのストーリーに、正直に申し上げますとかなり「不格好」であるがそれでも力任せにとにかく全部あつめてまとめ上げてお話に仕立て上げた。
そんな一冊。
ほんまにこれええの？裏はないの？真の意図はなんなの？
毎日あふれかえる違和感あふれるニュース。
そのニュースに対する個人のコメント。
調べていたつもりが、膨大な個人の意見の海に放り出されて足を取られて、結局なにが真実なのかをつかみきれずに放置したままの疑問を、一つ一つ丁寧に拠りだして作品にまとめ上げたかのような小説でした。
ただ、あまりに事象の数が膨大で、登場人物をそれに絡めてお話を作るせいで。
登場人物がどの人も人らしく感じられない。
あえてどこにでもいる「典型的な人格」を登場人物に据えてるのかもしれないが。
そういう意味で、動きが唐突だったり、主人公たちの行動に納得できなかったりして
「Ｒ帝国」のおぞましさを削いだかもしれない。
Ｒ帝国は平たく言うとわれらが日本で。
フィリップ・Ｋ・ディックの高い城の男方式で。
本の中の現実で、現実の日本がフィクション、読み物として語られる。
実際がとこ、2020年前半を新型コロナの一連の騒動の中を現実に生きている私にとって。
もはや「Ｒ帝国」はなにもかもをコントロール下に置く恐ろしい独裁国家と感じることが出来なくなっている。
去年の私になら独裁Ｒ帝国への怒りを感じ、ヒロインの「サキ」の行動に胸がすくような思いを持ったかもしれないが。
より多くの人間を「幸福」に生かすというのが国家の目的であるのであれば。
Ｒ帝国のありようもまた正解だ。
だれも責任をもとうとしない。
だれも痛みを引き受けようとしない。
自分の身の回りの幸せと平和だけを望む人々の群れの中で。
Ｒ帝国の加賀をはじめとするような政治家が我が国にいるか？
暗部を背負い、痛みを持っても決断し導いてくれるような政治家などどこにもいない。
汚かろうが何だろうが、大多数の人が夢を見ていたい。自分の周囲の幸せだけを望み、だれも深く考えることも知ることもしたくないし、それをする人のことを胡散臭い目で見るような社会なのであれば。
独裁国家の成立する隙は大いにあるけれど。
どこにそんな責任とってくれる政治家がおるねん。
独裁国家を受け入れたい。何も考えたくない。民主主義を放棄している人民ならたくさんいますよ～。あふれかえってるよ！
現実の政府は
せいぜいガーゼのちぃっこいマスクを配ってくれて（まだ届かないけど）
1人10万円くばってくれて（あとでぜったいそれ以上税金あがるし）
そのほか、巷で、現場で実際に起こっていることはすべてなかったことで幸せにコロナ終息宣言的な空気の中で生きる毎日ですからね。
戦慄を呼び込むようなストーリー仕立にしたかったんだろうが。
現実の方がよほど戦慄すべき驚嘆の毎日なので。
今日の私には刺激が足らん(笑)
あ！！ラストシーンはよかった。
確かに怖い！これ恐い。って思えました。
全てを覚えている。真実を知っているのにそれを口に出したり訴えたりする気力がなくなる薬を飲まされて虚構の人生を歩いていかなければならないってほんと恐怖。これは怖い。
手指の一つ視線も動かせなくて寝たきりなのに視覚、聴覚、頭だけがさえていて外へ自分が覚醒していることを伝えられなくて。周囲は無遠慮に感情をぶつけてくるといった恐怖感が近いかなぁ。
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そして。余談
先に読み終えたニューロマンサーに戻ります。
実は、ランキングかなんかを流し見てた時に、前からちょっと気になってたＲ帝国の表紙と見間違えてkindleでポチっとやってしまったんですね。
ニューロマンサーがサイバーパンクの走りで～っていう話題はむすこさんが前にしてたから、検索した履歴があったりそういうので目の前をチラチラしている表紙絵だったんだな。見間違えたわ！
R帝国も丁度文庫化したタイミングで見えやすいところに情報が昇ってきてたんだと思う。まぁ。どっちもそれなりに楽しんだけど！！！！！
自分で選んでるつもりだけど。実際はAmazonの情報が見えやすいところに上がってきたらパク！って食いついてるだけの感じの読書傾向なんだよねぇ。
