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ダイエットの成功、リバウンド、離婚から悲喜こもごもイマサラ金銭管理にめざめたおかあさんのブログです。

【本の感想】“緑の革命”を起した不屈の農学者 ノーマン・ボーローグ

掛け値なしに。良い気分です。何一つ悪い気分が含まれない。

世界中の飢えている人たちのお腹を満たしたことを理由に「ノーベル農業賞」が存在しないので、この偉大な貢献を「ノーベル平和賞」を受賞することでたたえられた方だそうです。1970年の受賞。

“緑の革命”を起した不屈の農学者 ノーマン・ボーローグ

 

地元のアメリカ・アイオワ州ではもちろん、1950年代~直接飢餓から救われた国々では今でも知名度は高いようです。

私が生まれるより前のノーベル平和賞受賞。長らく生きてきましたが。全く知りませんでした。

 

この本が出版されたのはおそらく、博士がお亡くなりになる直前。

不屈の魂と頑健な身体で貢献に次ぐ貢献。パワフルすぎる。何か一つを成しえても決してとどまることがなく、動いて動いて動きまくるのがすごいです。

 

現場第一主義の研究者でありながらも、現場に引きこもることなく成果を携えて世界各国の首脳との交渉もいとわず。自らが育てた小麦(黒さび病に強く、矮性かつ早生で、高収量)を広めることでまさに、世界を飢餓から救う原動力になったそんな方のお話でした。

ノーベル平和賞を受賞してからもまたすごい。同じ農業の発展、世界の飢餓と戦う研究者を称え、研究がより発展し途絶えることのないように賞の創設、機関の創設、教育プログラムの開始。絶対に止まらない人でした。前半生で小麦を育てると同時に研究者を育て、ノーベル賞獲得後は研究者の育成を小麦育成以上の情熱でやり遂げるスピード感。優秀な小麦を育てるように若い研究者もどんどん育てる。

 

 

本の中身はボーローグその人の功績を延々つづるわけではなく、ボーローグが始めたこと彼の功績から枝葉を分かれてどれほど世の中が変わったか。

何故、世界の飢餓はここまで急激に緩和されたのか(今でもアフリカ大陸、サハラ以南の飢餓は根強いですが)の理由をはっきりとわからせてもらえました。

 

遅ればせながら、夏休みに読んだばかりのFACT FULLNESに繰り返し出てくる、アジア諸国の急激な発展(乳幼児死亡率の低下、教育率の向上、平均寿命の伸長)の裏にはボーローグ博士がけん引した「緑の改革」によってお腹が満たされた多くの人々が、よりよい生活、よりよい教育へと進むことができたんだなぁ~~~。

FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

 

お腹が満たされるって本当に大事ですね。

なによりも、この改革のおかげでメキシコ・インド・パキスタン他多くの国が農業の改革に成功し、自国で、自分たちの手でお腹を満たすことができる筋道ができたっていうのが大きいのだなと感じます。その先に教育も健康も考える余裕ができる。

 

先進諸国といわれる国だって、どの国だって改革の余地には行き着く先などないけれど。まずはごはんが食べられる。食べられたら次は何をしよう?何をよくしよう?と国家自身が考えられるベースが整えられるってほんと素晴らしいです。

 

ボーローグ博士は長生きしすぎ、元気すぎるために。人生の最後の方では後進の方々が先にお亡くなりになって自分が老いて再度トップに返り咲くことになったり、整えたネットワークや研究施設が朽ちて忘れられていくのを目の当たりにするのもある意味悲劇的ではあるけれど。忘れられるということは、その成果が実って「やるべきことが縮小した」ともいえるので。核となる研究の種自体を絶やすことがなく、その方針・スピリット等がきちんと残っていれば、再度大きな危機が訪れた時には世界中からできる人が集まって何とかしてくれるのに違いないという風に感じています。遺産だね。一次忘れてもまさに「種」自体は残すべきだと思う。

 

“緑の革命”を起した不屈の農学者 ノーマン・ボーローグ

 

もちろん、これだけのことを成しえるには大変多くの人の協力や、国レベルの理解を得て研究者の育成、研究施設の設立、その資金の調達・・・ありとあらゆるタスクを実行する必要があるんだけど。全部にセンスがあるし、絶対に止まらない。

研究一筋・・・ではなくその政治的能力センス。精神力。

 

いやぁ。素晴らしいです。

 

本が出版されたのが2009年

博士がお亡くなりになる少し前。世は遺伝子組み換えの食品に対する危機感でいっぱい。そんな危ないもの食べるなんて!!!!という世界的なキャンペーン(グリーンピース???)が功を奏し、ヨーロッパをはじめ、わが日本でも忌避感でいっぱいになり、私自身も豆腐のパッケージに「遺伝子組み換えではありません」のメッセージを探していた時期がある。

何故、危険なのか、危険だと思うのか。

危険だと自分が思うから他の多くの人にまで「理由もはっきりわからず」危機感をあおられて、自らもその世界でそのように生きてしまった。危険だと思う理由をもっと突き詰めて情報に当たらねばならんなと個人的に反省。

 

今、自分が食べているものの中にどの程度遺伝子組み換え食品があるのかどうかもよくわからないけれど。それほど忌避したり、忌避したうえで他人に警鐘を鳴らす意味はないなと思った。これがために今、地球は70億の人間がごはんを食べているのだという事実に気づけば、その研究の発展に異を唱えるなんておこがましいです。

 

地球の片隅で、人類の片隅でお腹いっぱいごはんを食べて、太った太ったと騒げる人生をありがたいと思うばかりです。

 

わが日本の消費者庁でも安全を確保する取り組みを経たもののみが流通できる仕組みを整えてくれている。ので、そのようになっていると信じようと強く思った。誰かのあおった危機感に安易にあおられずしっかり考えて行動しよう。

 

あんまり自然自然、地球大事って言いすぎるとまずは人間自体が激減すべきなんじゃないのというような気分になっちゃうけど。こういう食品に起こった技術革命のおかげで70億の人間が一部、まだいきわたらない地域もあるとはいえ、50年前よりも明らかに飢えた人の割合を大きく減らした状態で生きているって素晴らしいです。

 

ボーローグ博士及び、同じ飢餓と戦われた多くの研究者の方の存在を知れて。

本当によい本だった。

 

最後に、本が絶版で。もちろんKindle版もなし。

ほとんど手に入らない状況です。完全に本の存在が忘れ去られている。

良い本だし。手元に置いておきたいが流通しているものは高額だったので、

私自身は図書館で借りてきました。

どうしても読みたくて5年ぶりくらいに図書館に行って、IDを復活するのに結構四苦八苦しましたがその甲斐があった。

 

Kindle版の復活を望みますね。

かなり読みやすい本です。

ボーローグ博士の人物伝は半分くらいで、紙面のかなりの割合をほかの研究者の方や研究施設の成り立ち等が占めている。到底一人でできる仕事ではないのは明白だがこの方が先頭に立って道を切り開いたのは間違いない。

緑の革命”を起した不屈の農学者 ノーマン・ボーローグ

 

多くの人の利益を考えれば、口に入る食品を自然のものに限ろうなんてなんて贅沢な話。手に入るだけのお金を持っている人がそれを選択する自由はあってしかるべしですが、すべての人にもそれを進めて、供給するアテもないのに今供給されている高収穫を誇る品種の開発や流通を邪魔するのは言語道断だと思う。世界の胃袋を満たしたボーローグ博士とそれに連なる多くの方々のご尽力に感謝感謝感謝して今、スーパーに並んでいるものを食べて生きていきます。

 

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