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【本の感想】あなたの人生の物語 〜短編集でした〜

あなたの人生の物語 テッド・チャン著を読了しました。

短編って知らずに読み始めて1作目のラストでまた盛大につんのめった。

いきなり終わった。

Kindle読書の弊害。紙の本ならやらない失敗。あとどのくらいで終わりそうという感覚が狂うんだよなぁ。

あなたの人生の物語

あなたの人生の物語

 

 

 よく売れてるSF小説で、映画メッセージの原作という知識しかなく読み始めて。

いきなりバビロンの塔から始まったので、映画もトレイラーしか見たことなかったのだけど。そのトレイラーの映像にこのバビロンの塔からどうやってつなげていくんやろ?って考えながら読んでたら、短編で。。。いきなりバビロンの塔が終わってしまってあわあわしました。

Kindle読書の落とし穴。何回ひっかかるねん。私。

 

読了してみて。読んでよかった。つぎ、「息吹」に手を出すかださなないか。。。迷いが出る

収められている全8作に対する私の評価がばらばらだからだな。

 

しかし、この1冊としての「あなたの人生の物語(短編集!)」はいい本だった。

私に、いいSFないかと聞いてくれる人がいたら、素直に推薦できる良書。

 

 

全8作の感想をまとめていきます。

一番好きなのは「地獄とは神の不在なり」

「七十二文字」はテクノロジーの行き着く先を思ってよく、息子さんと話合うテーマでもあり、面白かった。

あなたの人生の物語」はなんとも感情を。。。なんだろね。掻き立てられるものはある。

「ゼロで割る」は理解しづらいが、これをサッと理解できる人に生まれたかった。

その他は、普通に楽しめるよ!っていうところ。

 

以下、各編の感想

 

 

・バビロンの塔

雰囲気とかテーマは好きだけど、終わりが納得できない。

でも、これ。映像化できる人が映像化してくれたらなぁって思いました。

 ブリューゲルバベルの塔。中がどうなってるんだろうってひたすら眺めた子供の頃を思い出す。そのバベルの塔が神になんぞ打ち砕かれることもなくどこまでもどこまでも天まで伸びて太陽の隣も通り過ぎどこまでもどこまでも・・・

 って小説だとオチが重要になってくるけれど、今の映像技術を駆使して、想像力が貧困な私のために誰か。

すっごいバビロンの塔を見せて欲しいです。

願わくばゲームか?オープンワールドでひたすら登っていくだけのゲームでもいいな。

映像美ごりごりで。ゲーム性なんてそんないらん。オチも不要。ただ、自分が想像し得る以上の映像美。望む。

 

・理解

・顔の美醜についてードキュメンタリー

順番前後する上にまとめて感想。

実際に研究が進んでいるサイエンスの研究が行き着いた先を想像した世界のSF

ありきたりといえば、ありきたり。誰もがなんとなくそういうことできたらどうなるの?ともやっと想像するいく先を面白く書いてある。この作家さんの「心のあり方」に対する表現がなんともエモーショナルに響くんだけど、この2作はそのあたりの心情表現よりも、テクノロジーが確立した後に、それを利用する人の陥る先(理解)、とか、社会に及ぼす影響(顔の美醜についてードキュメンタリー)を書いてある。

普通に楽しいです。普通に。普通だな。うん。みたことある感じがするし。

この方のもう一つのお仕事がテクニカルライターWikiみただけです)だそうだけど、ものすごくたくさんの新しいテクノロジーの萌芽や進歩をウォッチされて、そんでこういう作品になるんだな。いいです。

でも。オンリーワンではない。

 

・ゼロで割る

これが一番私にとって難解であったが。難解すぎて、読んだ後に、だれか他のちゃんと読み取れた方の書評をネットで見つけて。それを読んでから。

あーーーーーそうかーーーー

と心が痛くなる始末。

数式をみて美しいとかんじられるノーミソ欲しいです。

その数式の矛盾に行き当たり。矛盾を共有してくれる人がいない恐怖を感じられるほどの超越した知能。あったらどんな世界なんだろう。

 苦悩も含めて、奥さんの知能には憧れるけれど。共感性の天才であるところ?の旦那さんには憧れない。

本人以上に周囲で気づいてる人は早々に気づいてしまうよね。こういうやつ。いるいる。いい人なんだよな。いい人に見える。いいひとと評価される。が、本音はそんなもんです。人間だからね。責められるほどのものではない。自信が偽善と自覚もせずに周囲に強要してきたその感情。それが押しつけの偽善であると気づいたんでしょ?気づくだけマシかな。

と、私は感想を持ったのだが。難解で。これでも正解なのかは不明。

 

お受験用現代文の問題で「作者の意図は次の4肢のうちどれか?」ってやつの正解を作者本人が「ちがう!」と明言されてしまったなんて話があったけどさ。正解はないんです。

いいの。私がそう受け取ったから!と開き直って楽しんでいます。

 

絵でも文章でも。正解をなにも作者に規定してもらわなくても。

心のままに楽しめばいいと思うんだよね。それぞれの解釈で。

と言い訳をかさねつつ。重ねれば重ねるほど、やっぱりこの作品を理解できてないという落ち着かなさを再認識中。

 

 

あなたの人生の物語

物理法則とか、当たり前の基礎知識であり、共通認識であると理解できる人には理解しやすいのかもしれないが、その基礎知識を共有できないおバカなわたしの知能レベルに加えて、記述が飛び飛びで、時間と空間を行ったりきたりするのでよくわからないと思いながら読んだ。

話を楽しめるだけの基礎知識がなさすぎる。

 

が、なんとかラストまできて。なるほどな。それが言いたかったんだ。なんとなく理解。

 

とはいえ、小説にしろ、映画にしろ、時間軸を完全に度外視してこれから起こること過去に起こったこと今起こっていること。全てを一度に自分のノーミソへ放り込むっていうのは想像はできても絶対に表現できないので。そういうことか。それが言いたいのかと思い描くことはできても、ペプタポッドが感じている通りに物事を感じることはできないし、表現することもできないというのはもどかしいですね。

 あんまり他で読んだり感じたりしたことのないタイプのSF小説だったので。

これは、確かに評価されますし、これを読んだらイマジネーションを刺激される人も多いのも納得。

 

映画はまだみてないけど。どちらにしても時間軸に捉われるので、、、行ったりきたりする以外の表現方法が思い浮かばないが。エモーショナルに仕上がってるのかなぁ。気にはなる。

 

・七十二文字

これも、前述の「理解」」「顔の美醜について」と同じタイプの物語。

よくわからん名辞という呪文みたいなもんを書きつけたら人形が動く魔法っぽいものにデフォルメして書いてあるけれど。これって、プログラムコードのことを言ってるんだと思う。

コードの進化とバイオ科学の進化の先でなにができるか。できるからってやったら社会的にどのような影響があるのか。私利私欲なんだか、人類のためなんだか。暴走する奴が出てきたらどうなるのか。

たぶん、皆、想像しまくって、怖いような、それでも必要なような。って思いつつ眺めている現在進行系。超注目株テクノロジー2つのコラボ案件。

似たような話は探ればあちこちに発表されているタイプのお話ではあると思うが。

短編で、端的にまとめられていて、それでいて。

その後に、あーでもないこーでもないと自分で思いをめぐらす楽しい1作でした。

想像はどちらかというとわりと楽しくない方へ行っちゃうんだけど。

あれこれ思いめぐらしちゃう種になるお話っていいですよね。

 

作中アシュボーン博士曰く

「人間の繁殖をコントロールできるようになれば、」ってやつ。

考えれば考えるほどに恐ろしいけれど。コントロールできるようになる未来が近くに見えているからこそ。実際、どうすんの?できちゃうよ???どうすんの。この技術?無かったことにするわけにはいかんよね?とまたひとしきり思い巡らしました。

 

みんな、考えておいた方がいいよね。先に法整備ができりゃいいんだろうけど。

我が国日本。ことが起こるまえの法整備なんて絶対ないからな。でも、できるからね。できる。近い未来。賢い人たちが本当にやっていいよって思えたら。自らの、社会的信条的宗教的な見えない箍が外れたら。できるんだって信じてるテクノロジー

 

なので!面白かった。

 

・地獄とは神の不在なり

この本に納められている全8作のうち、もっとも好きなのがこの話。思い返してもふわふわする。

無神論者である。無宗教であると自認しつつも宗教的な感覚とか、宗教そのもの。宗教が生み出した産物(主に芸術)には興味があるという。自分にピタってくる感じの宗教感だった。

私には死期を早めてまで再開したいと望むほどのパートナーがいるという心情を理解できないので。そういうもんかと読むしかないのだが。

神が、神がもし、本当に存在するというなら。まぁ。こういう理不尽なもんで。こんな理不尽なもんになんでみんな必死こいて首を垂れるんだ?っていうほど見事な神っぷり。

なぜか人を幸せにしてくれる、なんの間違いも起こさない神なんてどこにもいないけど。こういう理不尽な神の存在なら。なるほど納得。

じゃぁ、地獄でOK。

私にはそこまで固執するものがこの世にもあのよにもないなぁっていう気分でした。

神にすがる必要がなくわりと平和に生きている

そんな自分の人生に感謝しつつ。小さくまとまって生きてんなぁ。でも、あえてすがりたいとは思わない。

 

願わくば、この作品に出てくるようなエンジェルに出会すことなく。奇跡に触れることなく生涯を暮らしたいねぇ。

 

 

 

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