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ダイエットの成功、リバウンド、離婚から悲喜こもごもイマサラ金銭管理にめざめたおかあさんのブログです。

【本の感想】Nのために 湊かなえ著 〜いつ読んでも超気分が悪くなる〜

Nのためにをアマゾンプライムで見始めたらハマってしまって一気にみた。

ミステリのオチとしては、ネタをあかせばたいした話ではなく。

いわゆる囚人のジレンマ、高度に複雑に多人数でからみあったジレンマを登場人物がみな思いやることで一番いい形で乗り越えるという。※死んでしまったセレブ夫婦は被害者でしかないけど。こいつらとかかわらなきゃ幸せに平和に二人は暮らしたと思うもの

自分を守るため、自分が大切にしている人のためなら罪も犯すし嘘もつくし、大事なNに含まれない人たちは陥れても構わないっていう「村人」根性を垣間見ました。

でも、見方によっては美しいお話。自分の家族、友達、大切な人、自分の国、人種。

明確にじぶんが守るべき「チーム」に疑いを持たずに見れるなら。美しい物語とも言えるのではないだろうか?見事な村人たちだぜ。

私は、常にチームの外縁部にいて、チームの中のことも外のこともかんがえちゃう人なので。ちょい辛かった。こいつら偽善者だ。村人だ。

 

観終わってからも、そのままの勢いで原作もKindleで購入して一気読み。

湊かなえさんにとって「読んだら気分が悪くなる」は褒め言葉だろうね。

 

結局、真骨頂はミステリではなく、そのいやらしい設定。 

 

 

登場人物の設定がドラマの方がそれはないでしょうというほどリアリティを欠くので見やすい。

 

特に高校生の主人公に対する両親がそろいもそろって酷すぎるのだが、ここまでの仕打ちを父親にされたり、また母親がここまで壊れたら耐えたり我慢したり乗りこえたりするのでは無くわが、日本国に用意された各種法的救済システムでこの状況から抜け出せることははっきりしているのに、逃げずに追い詰められていってるのをみると、分かってて不幸にはまってくんだから勝手にしてよとむしろ見ているこっちはこころが平静になる。

 

10年前の殺人事件の全貌が毎回毎回、少しづつ皮を剥がすように明かされていくのもいい感じの演出。ついつい全話一気見しちゃうわけです(10秒スキップを激しく繰り返しながら)。

 

 

それに比べ。原作本の設定の絶妙さ。。。

両親の仕打ちが、妙に現実的にこれはあるわな。。。と思える程度の仕打ちと手当。

ストレスをかけられた主人公も苦しいのではあるが助けてくれと公的に騒ぎ立てる必要はなく、助けを求めるというほどの苦難でもなく。ありがちといえばありそうな程度の境遇。

Nのために (双葉文庫)

Nのために (双葉文庫)

 

 

 基本的には同じ話なのだが。

 

家から母親と子供たちを追い出す父親が払ってくれた月の養育費の額。月20万。

ボロ家とはいえ、家賃なしの状態で1990〜2000年ごろかな?母子3人贅沢しなきゃ暮らせるわな。確かに父がやったことは酷いが。父は父なりに子供たちを混みで考えても母と一緒にいたくなかったのであれば、高校生にもなりゃ、その予兆には気付いてあげてほしいもの。しゃあない。

母の主人公への世間知らず具合や、依存度合いやよっかかり具合も現実にあり得る程度のよっかかり具合。

完全なる専業主婦として外貨の獲得を全くしていなかった、お金の使い方を知らなかった母親の失敗(高い化粧品、服がやめられない。貴金属にふらつくなどの家計を脅かす無駄遣い)も現実味がある、いかにもありそうな程度な浪費として描写されている。

ドラマだと、月10万の父からの仕送りだけで食べるのにはかなりいっぱいいっぱいやろから、あの、まるで白亜のお城のように描写されていたおうちがあるなら「離婚時にもうちょっとふんだくって分与させられるやろ。それできょうだいの学費余裕やん」って思いながらみてたけど。

田舎だから土地代あんま気にしないとして、建物だけでも三千から五千位?

売れるかどうかもなかなか田舎じゃ難しいし。やっとっこ値下げて売れたとしても分与してしまったらどこまで価値が下がるかわからんし。月20万を支払ってもらえるなら、、、家の方にはてはだせんわなぁというのが私の感覚。

このあたりの描写のさじかげんも現実味があって、だからこそなお苦しい。

 

設定上のうそうそ。ありえんて。それ解決できるでしょ?という穴が上手に塞がれている感じ。そのような舞台で物語が進行するわけです。

 

絶妙の密室に登場人物たちが閉じ込められて踊らされて行く。

ドラマはがばがばで逃げ道だらけなのに逃げない登場人物っていうふうに見える。

映像のセンセーショナルさで、どらまだからこその良さもあるんですけどね。アクション映画で無駄に爆炎上がってる、あれとおんなじ。お母さんがこわれて化粧水びいちゃびちゃするのとかこわかったもん。はよお願いやから病院連れていってあげてーーーーーって。

 

なんとなく、しんどい、何となくうまくいかない、何となく抑圧される田舎から都会へ進学し、人混みに紛れて生きることのできる気楽さと、田舎への行き詰まり感の描写は、ドラマでは感じられない現実味

 

大学を卒業した後の、主人公の職業が大手とはいえ、新築マンション販売現場何ていう一見夢を売る仕事と見せかけつつも現実との折り合いが一番必要で他人の真の姿に結構触れちゃうんでしんどいなぁっていう仕事。ドラマだと独立の建築事務所で副所長?英文科って言ってたのに。。。?とみてて結構バグった。大学出たあと建築を学び直したのかな?売る専門の副所長サンなのかな?

成瀬君が大学を中退しない。普通にちゃんと大学を卒業するのに対し、ドラマはかなり唐突に無気力担って、大学を中退しちゃう。無気力でも大学は卒業できるからな。学力に相当の余裕があれば尚更。

ドラマでやっぱちんぷに感じたのは、いや。なにも特殊詐欺の受け子とか?急にIQ落としすぎて笑ってた。必要性がないんだもん。なに不幸ぶってるんだ?盗んだバイクで走り出すやつの新しい表現方法?そこそこの大学にぜんがくしょうがくきん(返さなくていいほんものの奨学金)で通ってる子やで?学校が面白くなくて、自分が大した人間でもなくてその他大勢の一人なんだってことに慣れない辛さっていうのは理解できても、お金にはこまらんし。せいぜいがところパチンコ屋で無駄遣いする程度でしょ。そこからなにも受け子とか中退とか必要性がわからない。

 

設定上、主人公世代を密室に閉じ込めて最後の事件につなげるために、親世代が酷いし、救われる余地、闘う理由があるのに、戦わず、被害者としてひたすらストレスを溜め続けて島を出て行くという。現実にはあり得ないレベル。

 

さらーーって読める軽い読み物ではあるのだが。

読むといろいろ気持ち悪いことこの上ないのでまた読んでしまう。

 

 結局のところはじぶんらだけよかったらええんかいっていう気持ちが拭えない。

何かをいじり出すと、バランスがくずれて、それを戻そうとするとさらにバランスが悪くなって、あっちもこっちも穴だらけのダダ漏れの。それを自分の都合のいいように見事に嘘をついたり、その嘘をクリティカルなタイミングで告白することで相手にさらにダメージを与える。

 

正義とか善でできるような所業ではない。

明確に悪。これこそが田舎。都会にせっかくでてきて解放されてるはずなのに、ムラを自分たちで形成して、自分たちの都合のいいように画策して、セレブ夫婦の命を奪った若者たちの物語ですやん。

 

 

ロマンス、純愛ストーリーとしての描写はドラマがだんぜんいい。

男女のあり方の価値観が、主人公たちの価値観すでに古い。私たち団塊ジュニアが持っていた価値観で書かれていて、親世代の男女のありかたを嫌悪する主人公の描写があるんだけど。

すでにヒロインの価値観が古いんだよね。 団塊ジュニアやねん。ああ。そうそう。大学生の頃。こういう感じの価値観で生きてたなって。

 

でも、今の子たちはちがうよなぁってつくづく思っている男女の立ち位置が、ちゃんとドラマでは更新されてて、若者の素敵恋愛ドラマを楽しめる感じになってました。

 

やっぱ、ヒロインが、相手役の男の子の服の裾を握ってるのがお互いが手を繋ぐのに変更になってたのが象徴的でした。

 

 

ラスト。結局、田舎に戻って、あれほど逃げたかった家族を許し、家族にもたれあいなが暮らすっていう幸福感というのは。

私は今のところ選択の余地がまったくないバッドエンドだと思うんだけど。

湊さんにとってはグッドエンドなんだろな。 

 

あ。そうか。都会の真ん中にいてもムラ的な性質で自分たちの利益を図ってきたんだから。最終村にもどるのはあたりまえなんか。。。

 

私は誰にも邪魔されず。邪魔もせず。

都会の隅でどこの誰でもなく平和に生きていきたい。できれば誰にも迷惑をおかけせずひっそりと寿命を全うしたいと願う人です。

 

 

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