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リンカーン(中) - 南北戦争 ドリス・カーンズ・グッドウィン著 読了

年末から読み始めたドリス・カーンズ・グッドウィンのリンカーン

上中下3冊に分かれている文庫版の(中)を読み終えました。

 

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1860年末、1期目の大統領選大詰め~大統領就任、南北戦争勃発~1862年9月に奴隷解放宣言の予備布告を経て、その年末までが収録されています(奴隷解放宣言本布告直前まで)。

リンカーン(中) - 南北戦争 (中公文庫) 文庫

 

 

 

日本語の題名だとリンカーンと潔くなっているのでリンカーンの人生ばかりをこの分量の記述か!と思ってしまいますが。原題はTeam of Rivals: The Political Genius of Abraham Lincoln.

 

リンカーンが大統領であった南北戦争の時代を生きた、リンカーン本人とその周囲の人物たちの残した往復書簡や公式文書、新聞記事等膨大な量の文献を調べに調べ込んでまとめ上げられた作品です。

 

小説仕立てではないので、感情をあおられるような文章ではなく。淡々とできうる限りの記録に当たり、限りなくその時代のリアルに近づきたいと願うような、なんとか垣間見ることを願うようなそういう本です。

 

 

例えば、リンカーンその人は大統領任期中、家族も一緒にワシントン、ホワイトハウスに住んでいて、夫人と離れて暮らすという時期がそれほど多くなく、家族との個人的な往復書簡の量がそれほど多くない上に人生のはじめの時期の記録は全くないような状態。

リンカーンがどう動いた、リンカーンが何を話したという公的な記録や第三者の記憶に関する記録は多いけど、本人の内心、本音といった生の情報が少なく、本人に迫れない感があります。

南北戦争終結直後に暗殺されて、本人が本人の功績を後日語れることがまったくなかったのも大きいし。暗殺されてしまったがために、神のようにになってしまったその時代の記録で今のリンカーン像が形作られているともいえるので、これ以上リンカーン本人に迫るのは難しいし。それを書く(描く)ことはもはやクリエイトの領域なので。できうる限りの事実に近いリンカーン像を表すことを目指した本なのだと思います。

リンカーン(中) - 南北戦争 (中公文庫) 文庫

 

そして、対照的なのがリンカーンの右腕として活躍するシワード国務長官

奥さんがワシントンに住むことに耐えがたかった上に、話し相手として相当の知性を備えた女性だったらしく、公私にわたりありとあらゆることをその往復書簡で語り合っているので、シワードが「その行動をしたときにほんとはどう思っていたけれど、周囲の状況、達成すべき目的のためにその感情とどう向き合ったのか。本音ではリンカーンのことをどのように思っていたけれど、どう折り合いをつけたのか」という本音と建て前を垣間見ることができ、リンカーンより身近に感じることができる。

 

南北戦争の初期に北軍最大のポトマック軍を任されていたマクレラン将軍に至っては、離れて住む奥さんに本音を超えたバカな愚痴と自分を良く見せるためのモリモリの都合のいいことを書きまくった手紙が大量に残っているらしく。後世では意気地なしの見栄っ張り、でも見栄えはめっぽういい、けど何もしないできないというイメージをそのまま事実として補完できてしまうという笑

 

南北戦争の大きな流れ、政治の流れといった歴史に残るような事象は他の本でも読むことができるけれど。大統領リンカーンを囲む、当時のアメリカを代表する頭脳と実力・名声を備えた大物たちが仲良くしたり喧嘩したり。誤解したり早とちりしたり。そういう小さな記述に至ってはかなり笑いながら読み進んでいます。

 

その裏ではあまりにも多くの人々が戦火に倒れているので、全体を通してみれば悲劇でしかないのだけれど。

少なくとも現代のアメリカ合衆国の領域がこの戦争を通して確定したのは間違いない。

 

これを3冊読んだからってアメリカがわかるわけではないし、歴史書という観点からすると各登場人物の個人的主観にみちた記録がならべられすぎだという意見もあるかもしれないし、南北戦争自体が実はよくわからないままです。

が、通して読めば、世相の一端なり、人物の一端なりを垣間見ることができる。面白いと思います!

 

ここ半年に見たドラマと読んだ本で私のアメリカの歴史への理解度は高まったな~と。

 

あと1冊。楽しんで読みます。

2022年はナポレオンをテーマに何冊か読もうとして失敗した(乗れなかった、ナポレオンが好きじゃなかった)けど、2023年秋から現在に至るまで個人的リンカーンブームが続いています。

 

 

 

 

上巻の感想はこちら。

dottarabattara47.hatenablog.com

南北戦争の時代 19世紀 シリーズ アメリカ合衆国史 (岩波新書) Kindle版 - イマサラ金銭管理

 

 

 

文庫版の3冊にはそれぞれだ大統領選、南北戦争奴隷解放という副題がついているのだけど。実際の時系列からするとちょっとずれてる感じです。

絶版なのかな。3冊とも中古しか入手できないし、Kindle版もないので。捨てないように所持しておかないといけないな~と思っている。

 

リンカーン(上) - 大統領選 (中公文庫)

リンカーン(中) - 南北戦争 (中公文庫) 文庫



リンカーン(下) - 奴隷解放 (中公文庫)



 

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