4月の末頃からダイエットを続けているのも理由の一つ。
暇があれば、暇がなくても食べ物のことばかり考えています。
ザ・フード -アメリカ巨大食品メーカー- がむちゃくちゃ面白かったです。
真実は何?ってあんまり考えだすと不毛な部分もあるので。エンターテインメントとして楽しむ歴史としては最高!
ホーリーチキン、フード・インクと現代のアメリカの巨大食品メーカーのダークサイドに焦点を当てて、食に関する社会問題について鬱々気分になっていた私に。
その食品メーカーのファウンダーに焦点を当てて、成功譚の部分を大きくクローズアップした作りになっているので。楽しい。
誰かが成功を収める話ってどうしてこれほどに面白いのだろう。
どの創業者もその時代時代で許されるある種の「悪さ(今となってはね!)」と当時としては先鋭的な消費者目線(安全、おいしさetc.)をもって新しいプロダクトを一からつくったり、探したり、たまたま見つけて横取りしたり笑をするのだけど。
1つ一つの創業者に焦点を絞り込むのではなく、平行して描きつつ、その時代時代の世相みたいなものも何となく一緒に頭に放り込んでくれるので。
現代人目線で批判するのではなく、素直に成功譚を楽しめました。
ハーシー、マース、M&M'sの下りが面白すぎて、昨日いろいろ買い集めてきました。
各創業家に思いを馳せながら1個づつ楽しんでいく所存。
以下。あらすじ的にざざっと書いたので。よろしければどうぞ。
もし、これを読んで興味を持たれた方があれば、ここから回れ右でアマプラで本編見るのもいいと思います!
ハインツがライバル会社を蹴落とすためにやったロビー活動から、FDA(アメリカ食品医薬品局)が成立していく過程なんて、もっともっと多くの事件や企業がかかわってそういううねりになっていったのだと思うけれど。その100年後のなれの果てをフード・インクで垣間見る感じとか。調べたらきりがないだろうな。
コカ・コーラ創業の下りでは、情報のクレンジングって、大昔は簡単にできたけれど。たった100年ちょい前でもやるとやらないでは世間の認識は全然違う。
今だってこれだけ情報が氾濫しているけれど大半の人は目につくところしかみないし。ダーティな側面があって、コカ・コーラができてるからって、コカ・コーラを最初に考案した人の嫁と息子がだまくらかされてはした金で追いやられたからってコカ・コーラをボイコットする理由にはならんもんね。面白い。成功の影にはやはり、狡猾さは必要。ただ、時代に合わせた狡猾さを過ぎると芽の間につぶされちゃうので、時代の空気を読む、その少しだけ先を読むって大事だなぁと思う。
ハーシーチョコ創業者の夢追い人ぷりは宗教染みているとは思うが、この信念がまた成功の原動力でもある。
一旦はお菓子のお店を倒産させるのだが、再起を図ったキャラメルで大儲け。惜しげもなくそのキャラメル会社を売り飛ばした資金を元手に(凡人はキャラメル会社で大儲けしたお金で余生を幸せに暮らしてしまうだろうが、その次の夢へ夢へと邁進するんだね~。カッケー)、何もない大地に町ごとチョコレートで生きる町を先に設計してたてちゃってからミルクチョコを開発する下り、夢見がちな理想家であるがゆえに、のちのスニッカーズを擁するマースをうっかり助けてしまうような決断をしてしまう描き方とか。
大興奮。
その後、マースが大きくなる過程で創業者父息子の争いから息子が放り出されて、そこで終わらず、放り出された息子が糖衣チョコ(M&M's)を引っ提げて、ハーシー社に乗り込んできて、辛酸をなめてきた実務家トップのマリーと組み、マリーの息子とマーズの息子がタッグを組んでM&M'sを大きくし、最終的にはすでに亡き父の会社マーズも買収して吸収しちゃうあたりなんてほんと。大興奮ですよ。
聖人なんてどこにもいないがこれがビジネスってやつなんね~~~と。
アメリカの巨大チョコレート会社が全部姻戚っぽい感じすごい。
ちなみに、M&M'sのマースはざっとWikiで見てみたところ、当時の骨肉の争いを再燃させず企業と財産を守るために、株式非公開の同族がちがちな会社になってるようです。
2度にわたる世界戦争のために政府が大量に買い上げることでレーションの一つとして兵隊の手に渡り、チョコレートも世界中に広がったわけですね。
昭和40年代に子ども時代を過ごした私。夏休みには終戦特番のドラマをみて、アメリカ兵にギブ・ミーチョコレートと追いかけまわる子供の群れに与えられたチョコレートはこうしてアメリカで大量生産が始まったのかぁと感慨ひとしお。チョコレート一つとっても歴史はドラマだ~~~。
ケロッグ創業の話は非常に興味深い。
世間でそこまでケロッグ博士(創業者の兄)が有名であったなんて話は遠き極東の国日本では全く知らない話だもんね。
全くの無能だと思われていた弟の才能と兄の才能。後世では「どっちもやばすぎる才能の塊」としか思えない。
興味が出て、日本語のWikiを読んだら、この作品に書かれている兄と弟の功績や行動が完全にごちゃまぜで面白かった。
兄の反対を押し切り、兄の窮地に付け込む形で弟が「売れる」商品にするために安価で砂糖添加のあま~~~~い食品として売り出したケロッグ・コーンフレークも、今は多分主流の商品ではなく、兄の提唱していた健康法がどれほど21世紀を生きる私の現代にマッチしているか。と思うとこのケロッグ(兄)は・・・健康産業を支える時代の最先端。時代の寵児だったんだね。当時は目端の利く人とか、お金を持ってる人にしかその感覚が理解できない。高価な健康法を今の私たちは日々実践できるわけだ。ありがたい。
ゼネラル・フードのC・Wポストはある意味、ビル・ゲイツに相当すると思う。
ケロッグ兄弟のレシピを盗んでうまく会社を大きくしていく過程。ただ、直接盗みを働いたのはこの人であっても、その後乱立するコピー会社、コピー品を大きく突き放す事業家としての才能、狡猾さ。
偉くなる人というのは最初からそういうもんだなぁっておもろ~~~~~~。
ちなみに、このドラマを見た後で調べて気が付いたんだけど。
最近ゼネラルフードって聞かないな~と思っててたら。
買収されたりくっついたり?を繰り返してモンデリーズに代わってたのね。ヤマザキからオレオを引っ剥がすあたりで初めてモンデリーズって名前を聞いた気がするのだけど。モンデリーズになったのが2012年で、そこからヤマザキからオレオをひっぺがしたのが2016年か~。面白い。調べたらきりがないですね。
モンデリーズがゼネラルフードだって気づいてなかったわ。
ポストの娘マージョリー・メリウェザー・ポストも面白い。
皿っとしか出てこないけれども。女が経営の中心を担えないわけではなく、地位が人を作る部分も相当あるなぁと。お金だけ渡されて女としての価値観の監獄に閉じ込められたら失敗したかもしれないけれど。資産をもつものとしての教育を授けられるってうらやましいと思ったり。
対比で頭に浮かぶのはコカ・コーラのレシピを考案したペンバートン氏の一族がコカ・コーラの拡大から完全に切り離されてしまうのも納得。なんの教育も情報も見せてもらえず、学ぶ気も才能もないって悲しい話だけど。凡人ってそうやって出来上がる(幸せでないとは限らないけどね!悲喜劇的)
急速冷凍の技術を開発するも、流通経路の改革ができるほどの資産もないバーズアイのところへマージョリーがやってきて、丸ごと買い上げるさまも爽快。
どちらかというと資本家というよりは技術屋肌で商売に完全に行き詰まっているバーズアイも売り渡した技術に見合うだけの金銭と技術を追求し続けることができる地位を得えるあたりが、コカコーラ創業のペンバートンの時代以降、繰り返される企業買収の歴史の中で知識と常識が広がっていく様を感じられる。
若きカーネル・サンダースの無法者ぶりすごい。笑える。
でも、絶対あきらめない信念をやっぱ持ってるんだよね・・・ほんと創業家ってすごい。
私たちが知っているのは晩年のクレンジングされたカーネル・サンダースだというのが分かって非常に面白かった。
サンダースのフライドチキンの技術、レシピ、事業を買い上げた事業家の話は全く出てこなかったけど、往年のサンダースのキャラクターを世界にそのまま売って出たのって。やっぱ面白いなぁ。面白い。チキンとレシピとカーネルおじさんもセットなわけよ。キャラクター大事。ストーリー作りも大事やけど。クレンジングも大事。
マクドナルドの創業の話は、ファウンダーの方が詳しいけれど。
そもそも、あのキッチンを考案したマクドナルド兄弟が、ファウンダーを見たときには相当してやられて辛酸をなめたイメージに書かれていたけれど。
こちらは、それなりの高額を吹っかけてかなり手痛い思いをしながらも、レイ・クロックがそれでも、大金を苦労しつつも支払ったというイメージが強くなっていた。
マクドナルド兄弟の感覚はやっぱり技術屋さんよりなんよね。無一文で丸裸で追い出されたわけじゃないのだから、まぁ。順当なビジネスの話なんだなぁと得心する次第。
やっぱりコカコーラレシピの父ペンバートンの嫁と息子はお気の毒すぎるが。
凡人にとっては教育大事やなと思いつつ。自らの才能ではないもので得たものって手から簡単に逃げる。それを何代もにわたって子孫へ送りつぐことにお金持ちがどれほど心血を注ぐかっていうあたりも3話見てて、時代とともに進化を遂げる。
ペンバートンが50年あとの開発者だったとしたら、嫁や息子の守り方もまた違っただろうかと思うけど。やむなしですな。父親ひとりで作ったものであって、嫁も息子も意味がわからず病身の父親が切り売りするコカ・コーラの株で食べてたわけで。
自己責任で生きてる私にすると。ほんと悲劇ってとことん喜劇。
いやはや。歴史って面白いね。